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弓場貿易㈱

会員者情報

企業名 弓場貿易株式会社
所在地 鹿児島市卸本町8-20
電話 099-268-9711
名前 代表取締役 弓場 秋信 氏

インタビュー(貿易ニュース鹿児島2006,5月号掲載)

代表取締役 弓場 秋信 氏

県貿易業界の第一人者で、本誌の”弓場社長のワンポイント アドバイス”や地元紙にもよく寄稿されている弓場社長を訪ねた。
このコーナーで紹介するのも今更という感がしないでもない。本人も照れながら海外貿易を始めたいきさつなどを懐かしそうに語ってくれた。

 若い頃から海を見ては、海外への憧れを募らせていた青年は、昭和42年19歳の時、台湾を一人旅する。初めての海外体験である。この時、現地でいろいろな人に親切にしてもらった感激が海外との交流に拍車をかける。

 24歳の時に溶接関係で青年海外協力隊員としてマレーシアに赴任する。厳しい活動の合間も、時間を見つけては東南アジア諸国を旅した。
 任期を終えるとすぐに帰国しなければならなかったが、公用旅券の変更手続をしてヨーロッパに向かう。ローマ行きの航空券を買ったところモスクワ経由だったため、熱帯のマレーシアから半袖しか持たない状態で、極寒のモスクワに3日ほど滞在する羽目になったとか。本人もこの頃はまだ旅慣れていないようである。それでも警備の厳重さや町並みの美しさなどが印象に残り、見聞を広めることができたとか。
 それから本来の目的地であるローマを始めヨーロッパを1ヶ月ほど回り、さらにイギリスで4ヶ月間英語の勉強をして帰国した。

 帰国後は、貿易や英語とは全く関係のない大阪の袋物の製造工場で6年間働き、鹿児島に帰ってくる。
 鹿児島に帰ってきて何をしようかと迷っていたとき、やはり好きな海外関係の仕事をしようと貿易を始める。幸いに大阪時代に蓄えた資金もあった。
始めると言ってもノウハウがあるわけでもなく、アドバイザーがいるわけでもない。 本屋に行って「貿易実務」という本を買い、アパートの1室で、独学で本をひもときながら、妻との2人3脚のスタートである。

 当時はメールやファックスのような便利な物もなく、また人脈、ネットワークもないため、ダイレクトリーやジェトロや県の引き合い速報を見ながら、ただひたすら手紙を書き続けた。100通出しても返事が1通来るかこないかといった状態だった。やっと返事が来たその1通も「手紙を見たが興味はない。」という断りの内容だったとか。それでも、その時は返事がきたことだけでも嬉しかったという。

 貿易を始めて1年目は、韓国へのしょうがの輸出の1件しかなかったが、ダメもとで3年ぐらいは夢を見ようと思っていたため、特にあせりはなかったという。2年目にな

って軽石やエビの配合飼料、孟宗竹の花器などを輸出するようになり、3年目にして取扱い品数も増え、なんとか食べていけるようになった。

以降、銀行や、ジェトロ、県などの協力も得ながら、業務は順調に拡大していったが、もちろん、多くの失敗もある。
インドネシアから年間4億くらい輸入していたかつお節の原料が内乱で一瞬にして消えたこともある。1985年のプラザ合意では、扱っていた商品の8割がダメになり、かなりの痛手を受けた。このとき為替は動く物だと言うことをしみじみ感じ、輸入にも力を入れるようになる。
弓場貿易では現在金額レベルでは輸入が多い。貿易は為替、相手国の政治状況、治安などに左右され、リスクが多い商売だと言うことは身をもって感じている。そのため最近では国内業務にも目を向け、国内の卸業をはじめることでリスク管理を行っている。

手前みそになるが、弓場社長は貿易業で成功した理由の一つに、県などが主催する貿易商談会への参加を揚げてくれる。商談会に参加するメリットは、紹介される企業がある程度信頼ができること、参加者の間で異業種交流ができるなどで、効率的に、安心して取引ができ、人脈も広がっていくという。昭和57年の第1回目の県の主催する商談会に参加して以来、入院していて行けなかった時を除いて全て参加している。

 ボーダレス化が進む中で、国内だけでは生きられない地域経済社会になってきた。今後、海外との交流、貿易はますます盛んになっていくだろう。
これから貿易を始める人へのアドバイスをお願いした。
 「貿易をはじめようとする人は、広い視点が欲しい。国が違えば価値観や考え方も違う。最終的には人対人なのであり、異文化理解ができることが大事である。取引を始めるときに相手の国だけを見て判断するのは危険で、信頼できるビジネスパートナーを見つけることも大事である。いろんな意味で目利きが大切である。」

中国との関係については、
 「今は中国抜きで貿易は考えられなくなっているが、「China+One」という考え方で中国を補完できる国を探し、取引を始める事も大切だ。しばらくは貿易相手国として最大のパートナーだと思うが、中国が何を欲しがっているのか、何を考えているのか、見極めなければならない。また、中国と取引する場合は、集金機能をしっかりしておかなければならない。マーケットの大きさに惑わされがちだが、現実をしっかり見て対応することが大切だ。小さくてもオンリーワンを狙うこと。幸いに、鹿児島には日本一がたくさんある。」

 弓場貿易では現在、通関士、外大卒、青年海外協力隊OBといったさまざまな経歴を持つ11名が働いている。弓場社長は社員の持っている能力を最大限に伸ばせるような会社でありたいと願っている。今でも青年海外協力隊員の面倒を見、途上国の発展を願い、全ての国の人が豊かになることを祈っている弓場社長にとって、貿易業はまさに天職なのだろう。
<「弓場社長のワンポイント アドバイス」は、当協会のホームページに掲載されています>

(貿易ニュース鹿児島2006.5月号掲載)

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