会員者情報
企業名 | 中原水産株式会社 |
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所在地 | 枕崎市東本町74-1 |
電話 | 0993-72-2211 |
名前 | 常務取締役 中原 晋司 氏 |
インタビュー(貿易ニュース鹿児島2009,1月号掲載)
中原水産(株)は1948年6月に先代の中原與一氏が中原與一商店を創業したところから始まる。1953年から鰹節の製造を開始し、1976年1月に中原水産(株)を設立。1995年から珍味・塩干事業を開始している。
海外との関わりとしては、魚のエサの原料の輸入や、水産物の輸出・輸入を商社を通して10年ほど前から行っている。主な取引先はアメリカである。
現在は枕崎市で水産物加工と卸売りを行っている中原水産(株)であるが、創業当時は、鮮魚の他、アイスクリームやさつまあげなども扱うなんでも屋だったそうだ。代表取締役の中原耕司氏は現在2代目で、社長が29歳の時に先代が病気で亡くなった後を継いだため、当時はその若さ故に大変な苦労をなさったが、世界中で操業するマグロ漁船のエサ事業を確立させた。
中原常務の兄である専務は築地で修行してきたいわば魚のプロで、現在現場責任者として主に、枕崎港に揚がる魚の仕入れ、販売を担当している。
今回お話を伺った常務の中原晋司氏は、今年、中原水産(株)に入社。以前はコンサルティング会社や、「育成した事業を販売する」というユニークな会社に勤務した経験を持つ。そこで無添加惣菜を宅配する事業の育成などに携わり、世の中の流れを読みながら顧客のニーズを把握し、ニーズに見合うサービスを提供する仕事のおもしろさを覚えたという。
中原水産(株)では枕崎で水揚げされた魚を仕入れ、鮮魚・冷凍・加工した形で全国の魚市場・卸・スーパーなどの小売りに販売をしている。鰹節類の加工では、主に業務用のサバ節の生産を行っており、そばやうどんなどの和風汁物のだし用として全国の問屋に卸している。最近はサバ節の扱いが減少傾向にあり、地場で捕れるアジやイワシなどのすり身や珍味などの加工の割合が増加している。
中原常務が今、特に力を入れているのが、珍味の加工である。
アジを原料とした「鯵の焼きひもの」は、くさやの製法を活かして骨や皮を取り除いた一口サイズの干物で、袋を開けてすぐに食べられる手軽さと、品質の確かさで勝負していきたいということで、これからは消費者のニーズをうまく捉えて新しい商品を開発していく事が大事だと考えていらっしゃるようだ。
「鯵の焼きひもの」にはマヨネーズの小袋も同封されており、幅広い層の消費者に好まれそうだ。おやつとして、また地場の特産品である焼酎にも良く合う味付けとなっている。骨付きの鯵を油で揚げた「鯵のカリッコ」や、鰹の切り身をしょうゆにつけた「フレッシュ鰹身くん」といった商品などは、既に鹿児島空港や県内のスーパー、コンビニ、首都圏の百貨店などで販売されている。
水産業界は環境に大きく左右される変化の激しい業界であり、常に挑戦していく姿勢が重要となる。中原水産(株)は一貫して生産者と消費者をつないで本物を提供していくという姿勢にこだわってきた。
消費者に自信を持って薦められる物、付加価値のあるものを提供していく事で、食の楽しさ、安心さを提供できる喜び。「魚をもっと食べてもらいたい。」という強い気持ちがあり、それを伝えていくのが自分の仕事だと熱心に中原常務は語られた。
余談であるが、珍味を製造している工場に案内していただいた際に、工場の建物は鯵のひらきの形になっているとの説明があった。残念ながら地上から確認することはできなかったが、指宿から枕崎方面に車を走らせる機会があればぜひ建物にも注目していただきたい。
<取材:諏訪・永田> (2009 年1月号掲載)