当協会の金融専門の貿易アドバイザーが,今まで寄せられた金融関連相談事例の中から,是非知っておいていただきたい海外事業展開の為の基礎知識を紹介するコーナーです。
講師は福元 雅英アドバイザー(鹿児島銀行アジア貿易投資相談所 所長)です。
中国からの配当送金について
「世界の工場」や「世界のマーケット」として注目を集める中国は、2001年12月にWHO加盟が決定し、現在、第三次投資ブームのさなかにあります。鹿児島においても、程度の差はあれ、中国進出を検討される地元企業は多くなっているようです。
中国に会社を設立した場合に、最初に気になるのは、「得られた配当を日本に問題なく送金できるだろうか?」とか「配当送金は中国外貨管理上の制限を受けるのではないか?」ということではないでしょうか。
そこで今回は、「中国からの配当送金」についてお話ししたいと思います。
結論から言いますと、中国の外貨管理法上、配当金の送金は経常項目の送金であり、関連する書類を銀行に提示すれば、問題なく送金できるものとされています。
中国現地法人は、12月31日の会計年度終了後、会計監査・企業所得税の確定申告を終わらせ、董事会(外資企業の最高意思決定機関で「取締役会」に近いもの)を開催し、利益処分承認決議を行います。
この決算手続きを経た上で以下の書類等を銀行に提示し、配当送金を行います。
- 納税証明:納税終了の証明
- 監査報告書:決算終了の会計士の証明
- 董事会の利益処分決議:決議を経た配当の証明
- 外貨登記証:外資企業であることの証明
- 検資報告:資本金払込の証明
配当送金は、外貨で行われますので、自社の外貨口座から外貨送金するか、銀行で人民元を外貨に換えて送金することになります。以上のように、基本的に問題なく「中国からの配当送金」を行えるわけですが、企業の定款には、「外国出資者に対する配当は外貨で行うこと、また、配当に必要な外貨がない場合は、銀行で外貨を購入して送金できること」を記載しておく方が望ましいとされます。
なお、配当や利子を国外に送金する場合は、企業所得税の源泉徴収が行われますが、現地法人(合弁企業・合作企業・独資企業)の配当金は免税となっています。
ところで,鹿児島県貿易協会での貿易相談は毎週木曜日午後1時30分からお受けしておりますが,鹿児島銀行アジア貿易投資相談所でも、中国投資に関心のあるお客様に対しまして、専門のアドバイザーによる「中国投資相談会」を企画いたしますので,「進出前のご相談」「進出後のご相談」「具体的な計画はないが、相談をしてみたい」等、中国投資に関するものは何でもご遠慮なくご照会ください。
(電話099-239-4896 福元・梅)
(貿易ニュース鹿児島 2003.5月号掲載記事)