中国ビジネスの現状と未来
中国江蘇省経済貿易委員会(元貿易協会研修生) 塗 家飛
現在、世界経済のグローバル化の進展が著しく加速化し、地域経済協力がよりいっそう緊密化されることにより、東アジア各国経済の相互連携と共同繁栄へと発展しています。中国のWTO加盟はさらに市場を開放し、西部大開発や民営化などにとっても大きな可能性を秘めています。一方、今年は『中日平和友好条約』締結25周年です。9月から日本人の訪中が15日間以内の場合、短期ビザを取らなくてもいいので 、両国交流は便利になると思います。一衣帯水の近隣である日本は地理的優位な位置にあるので、協力の分野を広げ、協力の深度を深め、規模をいっそう拡大すると同時に、協力の質を高めていくことが望まれます。中国は日本の経験や技術、資金などの援助が必要で、両国の協力空間は非常に広いと思います。そこを狙って日本の多くの企業が中国進出を目指しています。
現在九州の地場企業の進出先は地理的な近さから見て、上海を中心とした長江デルタ地区の周辺に集中していく傾向がますます顕著になっています。今年2月に私は帰国して、江蘇省の南部で日本企業5社の誘致を担当してきました。今年の半年だけで中日貿易総額も604億ドルを超えました。現在中国ビジネスは本当に盛んになっているのを実感しました。中国市場への進出の動機と言えば、コスト面での国際競争力を挙げようという狙いと、それとは別に、中国国内市場で物が売れるという期待があるため、あるメーカーが進出すると、そのメーカーに対して部品や素材などを供給するメーカーがそれを追って中国進出をする、という現状があります。
最近長江デルタの日系企業のアンケート調査によると、7割以上の会社は経常利益が『増加』したと回答しており、今後の事業展開について『規模拡大』の意向を持つ日系会社が7割を占めています。一番経常利益が増加した日系製造業企業には生産-輸出のタイプがあります。中国市場販売の割合の高い企業には、売掛金の回収難や模倣品などの問題が少しあり、今後もこうした傾向が当分の間続くことが懸念されています。でも、今後中国の経済法規がさらに完備されることが期待できるので、売掛金の回収難や模倣品などの問題はだんだん減少していくと思われます。
中日の文化や習慣、言葉、価値観などの相違も日系企業の経営問題の一つです。ただ、毎年中日交流訪問の人数は300万人以上、日本人の中国へ留学者数も年に1万5千人、中国にいる外国留学生の1/3は日本人の留学生です。中国の日系企業は日本への留学経験を持つ中国人と中国で留学したことがある日本人をよく採用しているため、会社の中でのスタッフと管理者のあつれきもおそらく小さくなっていき、両国の国民理解も深くなって行くと思います。
今年江蘇省だけで国営企業282社以上を売却したいと考えています。このような工場や、そこでの労働者、また一部市場など持ってる企業を買うことは、新たに投資するよりも大きな利点があります。これは中国のWTO加盟後、中国投資のさらなる大きな機会です。今世界の有名な多国籍企業が空前の勢いで中国に進出し、積極的に対中投資を行なっていることによる影響も非常に大きく、今後グローバル化戦略から対中投資をおこなう日本企業がますます増加するであろうことが考えられます。
今後、中国市場は日本中小企業が自由に成長している一つの「舞台」になっていくと思います。一方、中国からの対日投資が日本経済の振興へ関与しているという現状もあります。
以上のようなことから、中日両国は効果的な地域経済協調体制や緊密なアジア太平洋経済実体などをつくり、共に協力してアジア太平洋地域での経済の持続的安定成長を促進させていくべきだと考えています。