上海鹿児島線就航5周年及び中日国交正常化35周年記念事業リポート
鹿児島県かごしまPR課 片野坂 昭彦
去る8月25日(土)~28日(火),中国東方航空の鹿児島・上海線就航5周年及び日中国交正常化35周年記念として,知事を団長とする総勢100名の訪問団が上海を訪れました。上海では,上海市政府や中国東方航空,関係機関を表敬訪問し,鹿児島・上海線の増便や相互交流などについて要請したほか,県酒造組合連合会と連携し,本県の特産品である焼酎の商談会やPRイベントを実施しましたので,報告します。
今回の訪問団は,知事,県議会議長,県商工会議所連合会会長のほか,県酒造組合連合会,県特産品協会,県漁業協同組合連合会,電通九州,マスコミ(KKB,MBC,読売新聞),JTB旅館ホテル連盟,県関係者など総勢約100名となりました。
8月27日(月),上海の日系ホテルである花園飯店において,県の特産品である本格焼酎の海外市場開拓の推進を図るため,商談会を通じて積極的な販路の拡大を図るとともに,上海市民に本格焼酎の美味しさや楽しみ方などについて理解を深めてもらい,県産食品の消費拡大を目的に,商談会,セミナー,レセプションの3部構成で県,県酒造組合連合会,県特産品協会,県漁業協同組合連合会の共催事業として実施しました。
「鹿児島県本格焼酎・県産食品商談会」は,県内の酒造会社13社と県漁連,菓子,さつま揚げのメーカーなど計16社が参加しました。商談会には,本格焼酎(芋・麦・米・蕎麦・黒糖など)60銘柄のほか,ブリ・トビウオ・キビナゴ・タカエビの刺身・カツオのたたき等の水産物,さつま揚げ,ハローキティかるかんなどの菓子が出展されました。
出展者:さつま無双,濵田酒造,小正醸造,西酒造,薩摩酒造,山元酒造,田苑酒造,大口酒造,若潮酒造,岩川酒造,小鹿酒造,高崎酒造,弥生焼酎,県漁連,有村屋,馬場製菓
会場では,焼酎製造工程のPRビデオを上映し,焼酎や県産品の展示,試飲をしながらの商談会となりました。原料や麹など焼酎の違いに熱心に耳を傾けるバイヤーが印象的であり,刺身やさつま揚げ,菓子の試食も大変好評でした。日本料理店を中心に30社53名の上海バイヤーが来場し,140件の商談が行われました。
上海は,日本にとって最大の貿易国である中国の表玄関として,今後,輸出が期待される魅力ある大きな市場です。県内の酒造会社が集まって商談会を実施するのは初めてのことであり,本格焼酎をはじめとする県産食品の大きなPRになったと思います。
「本格焼酎セミナー」は,県酒造組合連合会,県との共催により,本格焼酎の特徴や楽しみ方を小売店や飲食店,上海市民の方々などに理解していただくことを目的に開催されました。県酒造組合連合会評議員の濵田雄一郎氏を講師に迎え,「世界の蒸留酒『本格焼酎』,その魅力と愉しさ」と題した講演が行われました。
「芋焼酎の原料であるサツマイモ(鹿児島では「唐いも」という)は,実は中国から伝わってきており,中国が非常に身近に感じられる」と始まった講演は,聴講しながら,実際に試飲してもらうという趣向を凝らしたものでした。番号が付された焼酎コップが全座席のテーブルに準備され,白麹・黒麹・黄麹の芋焼酎,黒糖焼酎など,麹の種類が異なる焼酎や水で割った焼酎を実際に試飲しながら,「麹菌(白麹・黒麹・黄麹),麹(米・麦・いも),蒸留方法(減圧・常圧)等の違いによって,焼酎の味や香り等が色々変化するのが本格焼酎である」という解説に,参加者はそれぞれのコップに口をつけながら,時には首を傾け,本格焼酎の特徴や魅力を実感していたようでした。特に,「中国の蒸留酒『白酒(パイチュウ)』では行わない,『酒を割る』飲み方が一般的であり,アルコール濃度をワインと同程度としても味が崩れず,湯・水・ロック等様々な楽しみ方ができる飲み物が『本格焼酎』である」ことが理解されたように思います。
また,中国では最近,健康志向が高まっていることから,「本格焼酎の特徴の一つに,血液をさらさらにする血栓溶解酵素の活性化能力が赤ワインの2倍も高く,他のアルコール飲料より健康的であり,日本では高い評価が得られ,特に近年は若い女性にも好んで飲まれている」「蒸留酒としては極めて稀な食中酒で,ワインと同じように食事とともに楽しめ,特に中華料理との相性は抜群に良い酒であるので,中国の女性の皆さんにも是非飲んで欲しい」と,本格焼酎は健康に良く,中華料理と合う飲み物であることを講演され,本格焼酎のイメージアップが図られたのではないかと思います。
最後に,「鹿児島の芋焼酎は,『薩摩』焼酎として,ボルドー,コニャックのように,WTOのTRIPS協定に基づく『地理的表示』が認められ,今後,ウィスキーを始めとする五大蒸留酒に並ぶ,『世界の蒸留酒』として将来性の高い魅力的な蒸留酒である」ことを紹介し,講演を終えました。
セミナーには,上海の飲食店関係業界誌や日本料理店等に配布したチラシなどにより公募した上海市民や在上海の日本人など約100名が参加し,熱心に聞き入っていました。セミナー受講後のアンケートでは,鹿児島の本格焼酎を今後,飲んでみたいという声が多く,特に,「健康に良く飲みやすい」「飲み方のバリエーションが多い」点が人気のようでした。また,今後,中国の方に鹿児島の本格焼酎をもっと飲んでいただくための取り組みとして,「TVCM,広告をどんどんやって欲しい」「上海のスターに飲んでもらいトレンドにする」「大手中華料理店に置いてもらう」等の意見も寄せられました。
上海の締めくくりとして,上海鹿児島線就航5周年及び中日国交正常化35周年記念「中華料理と焼酎の夕べin上海」を開催しました。
会場の正面ステージには,本県の本格焼酎を代表する103銘柄の焼酎瓶が展示され,来場者の目を引きつけていました。開会に先立って,知事や来賓の方々など8人がステージに並び,「チェスト(鹿児島弁で“それいけ”の意)」の大きな掛け声で盛大な鏡開きを行い,かごしま色のアピールができたと思います。
それぞれのテーブルには,各蔵元の焼酎が置かれ,参加者の話題に花を添えていました。会場一角に用意された試食用の「さつま揚げ」は,瞬く間になくなり,会場にずらりと並んだ各蔵元の焼酎バーでは,参加者一人ひとりに合わせた飲み方(お湯割り・水割りなど)を聞きながら,焼酎の楽しみ方や魅力,おいしい飲み方を丁寧に説明するなどして,参加者に振る舞っていました。焼酎バーは,おかわりを求める方,各銘柄の説明を詳しく聞く方,どうやったら手に入るかを聞く方など,最後まで賑わっていました。
また,焼酎やさつま揚げ,かるかんなどの県産品が当たる抽選会も行いました。県酒造組合連合会の吉野副会長が番号を発表するたびに会場のあちこちで歓声が上がるなど,上海の方々に大変喜ばれるイベントとなったようです。
レセプションは,上海市人民政府副秘書長をはじめ,旅遊事業管理委員会,港口管理局,外事弁公室などの市政府幹部に加え,在上海日本国総領事館,JETRO上海,JNTO上海,上海市内旅行社や焼酎セミナーに出席された方など,上海側約100名,鹿児島県側60名の計約160名が参加して大盛況に終わり,本格焼酎の魅力を十分にPRできたのではないかと思います。
上海市政府や現地の飲食店関係や一般市民の方々などと焼酎を通じた交流を行うことで,本格焼酎が健康に良い等の特徴や中華料理との相性の良さ,焼酎の美味しい飲み方等を総合的に紹介することができ,本格焼酎をはじめとした県産食品の認知度の高まり,海外市場開拓に繋がるものになったと思います。
鹿児島銀行上海事務所の西田所長をはじめ,多くの皆さんに御協力をいただきました。この場を借りてお礼を申し上げたいと思います。ありがとうございました。