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弓場社長の貿易アドバイス

その5

当協会の理事で,弓場貿易株式会社社長の弓場秋信氏による,すぐに役立つワンポイント貿易アドバイス!

その5

弓場秋信氏鹿児島県貿易協会主催の「ベトナム貿易商談会」が今年も実施され参加した。鹿児島県では日本の南の玄関口(拠点づくり)を目指し海外との交易を盛んにすべく1982年香港での貿易商談会を皮切りに、毎年実施し既に8カ国・地域で20回を数える。
1982年は、私が貿易を創業して1年が経過していた時期であった。未だ弓場貿易と名乗ってはいるものの、貿易の実績も数えるほどでとても生活出来る状態では無く過去の蓄えで食い繋いでいた。そんな折商談会開催の案内を受け取り、多くの県下の企業と一緒に参加した。以来入院中の為に参加できなかった1回を除きその全てに参加した経験から商談会のメリット及び活用について以下に述べたい。

1.貿易に興味を持ち、これから始めようとする人にとって最初の取っ掛かりとしての参加。自分で新規の供給先や売り込み先を探すとなると、どの様にすれば好いか、又は方法は判っても相手とのコンタクトそして返事を待っての次の行動など、時間と経費が費やされる。それらが商談会参加により全て一瞬の内に可能である。それは事前に商談品目を参加申し込みと一緒に提出すれば、県より現地公的機関にその内容が 伝わり関連の企業が商談会に出席するからである。もちろん現在貿易を行っている企 業にとっても有効な手段である。私が19回も参加しているのもそれが理由である。

2.鹿児島から参加の企業の人と知り合いになれる。参加企業は製造業から卸・小売 及びサービス業まで多岐に亘り、取り扱い品目及びサービスは多種で、お互いが持つ情報・知識も豊富、まさに異業種交流である。約1週間行動を共にする事でお互いの人間関係が深まりネットワークが広がる。

3.鹿児島県が主催するので、相手国の信用度が高くそれなりの企業が商談に見えると同時に、鹿児島の参加企業に対するイメージアップに繋がる。

4.メリットの多い商談会ではあるがそのチャンスを生かす為にはそれなりの準備が必要である。現地での1時間ぐらいの商談中での成約は不可能に近いので、効率良く商談を進めるために、会社案内(パンフレット、ホームページなど)の準備、商談品目の事前市場調査、商談希望企業の情報を入手しての事前コンタクトが重要である。

多くの企業が商談会に参加して果実を持って帰国します。貴社も2003年参加しませんか。
(貿易ニュース鹿児島2002.1月号掲載)

その4

当協会の理事で,弓場貿易株式会社社長の弓場秋信氏による,すぐに役立つワンポイント貿易アドバイス!

その4

弓場秋信氏貿易を創業したころ名刺を出すと「千に3つ」ですねと言われた。それは何ですかと尋ねると、貿易と不動産は、引き合いは沢山あるが実際それが成約と成ると「千に3つ」とのこと。この業界に入って間もない私はその事を体感するまでには至っていなかったが、その内にその言葉の重みを実感するようになった。
鹿児島から洋食器を含む焼き物を輸出しようと各国のダイレクトリーやJETRO、各種貿易機関、銀行等が発行する月刊貿易引き合い情報を取り寄せ、洋食器や焼き物を輸入したい企業を見つけ手紙を出し、胸をときめかせながら返事が来るのを待った。暫くして発送先の約10%から来た返事の殆どは、提案した商品に興味がない旨の内容であったが、一通だけ洋食器を買いたいからすぐに見本が欲しいとの事。早速メーカーから見本を購入して数万円を払って航空便で送った。いつ注文が来るかと待っていたが、何の返事もない。ある時JETROの通商弘報に、アフリカにはサンプルコレクターがいるので注意しなさいとの記事が出ていた。
貿易の相手先は世界中至る所に存在し、国内商売と比較すると無限の可能性を持っているように感じる。また自分から連絡しなくても世界各国から売りや買いの手紙、FAX、インターネットが届く。全ての引き合いに可能性を予感し、調査・販促活動を行っていると、時間と経費を使い事業の成功がおぼつかないことを実感する。まさに「千に3つ」の世界である。
成功の確率を高める為には、様々な引き合いやアイデアの成約可能性・確率を判断する目利きを養うことが求められる。それには文面の顔、内容、世界の政治経済の動き、地域のニーズ等に対する感性を高め、引き合いに対して行動を起こす前の事前の選別が大切である。
(貿易ニュース鹿児島2002.12月号掲載)

その3~品質~

当協会の理事で,弓場貿易株式会社社長の弓場秋信氏による,すぐに役立つワンポイント貿易アドバイス!

その3~品質~

弓場秋信氏輸入貿易を直接行ないたいと思いつつも躊躇する主な要因は、一回の購入量の多さ・品質への不安、そして金融です。そこで今回は品質について述べたいと思います。
もしも事前に取り寄せた見本と輸入現品が同一であるならば、多くの人が貿易を手がけると思います。しかし実際には、現品の品質が見本と違い損失を被る事が多々あります。国内取引においても程度の差はあれ同様の問題が起こる事があるが、代金の支払いが品質をチェックした後であるために、買い手が損をする事は希有です。
それでは実質前払いで、クレーム処理が思うようにいかない貿易で、見本と同一の商品を入手し初期の利益を得るためには、どのような事に注意し何をチェックすべきかを以下に述べます。

1.取引先のビジネスの姿勢及び実績を見る。

欲しい商品が有りそうな国から取引先数社をピックアップしたら、通信手段を使ってアプローチしその返事を待つ。そして返事が早く、質問に対して的確に対応し、過去日本と取引実績の有る会社を選択する。

2.原料や製造工程のチェック。

見本の品質が良くても、原料の品質にバラツキがある場合、また製造工程に不備があれば均一な商品はできない。製造現場に出かけていけない場合は、原料の品質基準と詳細な製造工程を入手してチェックする。

3.商品の仕様を正確に文字で表示する。

輸入者が必要とする商品の仕様を文字や数値で表示し誤解の無いようにする。また逆見本を送るなりして理解度を上げる。

4.節度有る価格交渉。

商品の日本における市場について説明し、相手にベストプライスの提示を求め、その価格が受け入れられる数値であれば、それ以上の値引きを求めない。無理な値引きは原料の品質低下や製造工程の簡略化に繋がる。
(貿易ニュース鹿児島2002.11月号掲載)

その2~CIF(保険料・運賃込み)~

当協会の理事で,弓場貿易株式会社社長の弓場秋信氏による,すぐに役立つワンポイント貿易アドバイス!

その2~CIF(保険料・運賃込み)~

弓場秋信氏保険の必要性は理解しながらも少しでも経費を削減したいとの思いとの戦いです。
あるとき船会社より電話で「御社の貨物も積んでいる台湾からの船が、荷崩れを起こし傾いてきたので、危険を回避するために一部のコンテナを海上投棄し、そのコンテナ貨物の損害分は、船内に残った荷主で負担してもらいます。もちろん共同海損として保険が適用されます」との連絡がありました。私は、近い国でありまた通常貨物であったために海上保険を掛けていませんでした。結果として保険料相当額の十数倍を払う事となりました。
インドネシアより冷凍かつおを専用船で輸入した時には、鹿児島で荷揚げしてみると通常一本一本が離れるのに、魚同士が結合し傷んでいる魚もある。保険会社に保険の請求をすると、品質上のことで事故ではないので払えないとの事。そこで現地に積み込み時の状況・魚体温度を聞くと問題が無い。それでは航海上に発電機等のトラブルによる冷凍庫の温度上昇が原因ではと考え、船会社に冷凍庫内の温度記録の提出を求めると、それは出来ないと言っていたが、最終的に事故の発生を認め保険を受け取る事が出来ました。
偶発的事故の発生による損害から守るための保険料は、コスト計算の中に必ず含める習慣を付けるようにしましょう。
(貿易ニュース鹿児島2002.10月号掲載)

その1~建値の決め方~

当協会の理事で,弓場貿易株式会社社長の弓場秋信氏による,すぐに役立つワンポイント貿易アドバイス!

その1~建値の決め方~

弓場秋信氏まず輸入するに当り必要な商材を探し価格交渉に入りますが、貿易の建値はFOB(輸出港本船積込渡し値段)、C&F(運賃込み値段)、CIF(運賃保険料込み値段)が一般的に使われます。ではどの建値が最も有利か、それを見出すためにどのような作業が必要かを述べます。但しCIFについては次回に譲ります。
輸出者からの見積りはFOBとC&Fの両建値で貰いその差額を計算します。その額が先方の支払い海上運賃です。そこで日本サイドで船舶代理店を通じて海上運賃の見積りを依頼します。そして日本での運賃が安い場合はFOBを、その逆はC&Fを選択します。私の過去の経験では、開発途上国からの輸入はC&Fが安く、中進国や先進国からの輸入は、輸入者や通関を依頼する先の代理店の実績で、安い運賃が得られFOBを選択する事があります。
コスト低減が求められる今、例え1万円でも知恵を絞ってコストを下げる努力をすべきであろうと思います。
(貿易ニュース鹿児島2002.9月号掲載)

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