トップページ > コラム > 弓場社長の貿易アドバイス > その27

その27

当協会の理事で,弓場貿易株式会社社長の弓場秋信氏による,すぐに役立つワンポイント貿易アドバイス!

その27

弓場秋信氏雑貨の輸入で欲しい商品がありながら直輸入を躊躇する理由の一つが注文ロットの大きさである。同じ商品を大量に仕入れ、その販売に要する時間、倉庫料、金利、また完売できずデッドストック化した時のロスなどを考えると前に進めなくなる。そこで今回そのリスクを和らげる取り組みについて籐椅子の輸入を例に輸出業者選定から述べてみたい。
籐椅子はフイリピン、ベトナム、タイ、マレーシア、インドネシアなどで製造されている。一方籐の原木はインドネシアが最大の生産国で、他の国は原料の大半をインドネシアに頼っている。近年インドネシア政府は籐を原木の状態で輸出することを禁止しているので他の国が籐原木を輸入する際は、何がしかの加工を施した状態で輸入し最終製品に加工する。従って製造国の中でインドネシア以外の国は価格面でハンディーを背負う形となるので品質、デザインで差がなければ籐椅子の輸入先としてはインドネシアが最適国となる。
インターネットや貿易協会等への問い合わせにより、インドネシア国内の籐製造メーカー・輸出業者のリストを入手し企業規模・取扱品目・輸出先国などを勘案しながらメールやFaxを送る企業を選ぶ。知らない企業からのカタログや見積り送付依頼に対し、受取った側は郵送費とそれらを準備するのに要する経費を考え、返事を出す価値がある企業かを文面より判断する。従ってFaxやメールの内容は、自社の概要、商品仕様、注文予定数量、支払条件などを魅力ある文で綴る事が肝要である。
届いたカタログ、価格、その他の条件から返事をする会社の絞込みをする。そのポイントは輸入予定の籐椅子を供給出来るのはもちろん、それ以外にどのような商品を製造し、何が日本のマーケットで受入れられ自社の販売努力で売れそうかを検討する。それは最初に述べたように単品での大量注文によるリスクを回避する為には、他の商品を同時に購入することで単品大量から多品種少量の輸入を可能にする。同時に他の商品を扱うことによる売上げ増と、顧客先の商品構成に幅を持たせ、輸入業者としての価値を高めることになる。
籐椅子を例に述べたが、他の商品でも同様のアプローチをすることで成果を得られるのではと思う。また輸入先がメーカーであればより安く買えるが一回のオーダーで多品種少量を考えるならば取扱間口の広い現地の商社を活用することも選択肢に入れるべきでは。
(貿易ニュース鹿児島2004.12月号掲載)

TOP ▲