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その8~インターネットの怖さ~

当協会の理事で,弓場貿易株式会社社長の弓場秋信氏による,すぐに役立つワンポイント貿易アドバイス!

その8~インターネットの怖さ~

弓場秋信氏通信技術の発達で外国との交信が迅速にそして安価になった。特に電子メールの普及は、大量の情報を瞬時に送れるようになり相手との意思の疎通に大いに寄与している。従来貿易の通信手段として多く使われていたテレックスがFaxに変わり、今は電子メールが主流となっている。しかしそんな電子メールたよりのビジネスには、思わぬ落とし穴が有るのではと思わせる出来事があった。
ある時機械工具の輸入をすべく、国とメーカーを選定して、必要とする商品の仕様並びに数量をFaxで数社に送った。その内の1社よりメールで写真の添付きで返事が届いた。それは正しくこちらで文章にして送った仕様に近いものであったので、早速細部にわたる交渉にはいった。先方はこちらからの要望を受け取ると、1日置かず納得のいく返事が返ってくるので、素晴らしい供給業者を見つけることが出来たと感激し見積りを依頼した。届いた見積りは日本の市場価格に精通している業者であると感じ入いるに充分な価格であった。しかし支払条件は前送金となっている。初めての取引でもあるのでL/C(信用状)による支払いをお願いしたが前送金を譲らない。
過去の経験からなのか本能的に何かを感じ、会社のレターヘッドを使用してのProforma Invoice(仮納品書)をFaxで送るようお願いした。レターヘッドの会社名は同じであるが住所・電話Fax番号が最初にこちらから送った会社のものと違うので、最初の電話番号に電話をすると、それまでメールでやり取りしていた人は既に会社を退職していた。また新しいところに電話をすると一般の家である。そこで今までの人に対する何かが不信へと変わった。改めて最初の会社に電話をすると引き合いのFaxは受け取っていないので送ってほしいとの事であった。そして今までより安い価格で見積りが届きビジネスが始まった。
電子メールでだけの取引は文字だけで心が見えない部分もある。顔の見えない外国人との取引に、相手を知る手がかりとなる電話での会話やFaxでの所在確認も大切である事を学んだ。
(貿易ニュース鹿児島2003.5月号掲載)

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