当協会の理事で,弓場貿易株式会社社長の弓場秋信氏による,すぐに役立つワンポイント貿易アドバイス!
その6
鹿児島が全国に誇れるもの、或いはその分野で全国1位の物は何があるか。調査の結果孟宗竹の竹林面積もそれに該当することがわかり、輸出すべく韓国のバイヤー探しを始めた。なぜ韓国かと言えば、過去の貿易統計を調べたところ韓国で実績が出ていたからである。そこで韓国のダイレクトリーで、竹を扱っている業者をピックアップして手紙での売り込みを行い、バイヤーを見つけることが出来た。それから何年も取り引きを行なっていたある時、取り消し不能のL/Cを受け取っていたにも拘らず韓国のバイヤーより孟宗竹の輸入が禁止されたとの連絡を受けた。理由は植物検疫上の問題との事。輸出すべく孟宗竹を北薩地区で切り出し鹿児島港の置き場に6000本を既に用意した後であった。植物防疫上の事であればバイヤーも成す術がなく、またバイヤーに損害賠償を要求する事も出来ず、仕入れ価格の半値での再販となった。
貿易は自由化に向かって非関税障壁の緩和・輸入関税率の切り下げが行なわれ、障害は少しづつ取り除かれている。しかしながら世界が狭く自由になったことで、様々な病原菌も国境を越えて容易に入り込めるようになった。また食品に含まれる添加物も多種なってきた。それらに対して各国も貿易管理を強化してきた。特に植物防疫・動物防疫の分野における規制が厳しくなった。最近の例で言えば、BSE(狂牛病)発生による影響で輸出入時に様々な書類や証明書が要求されたり、或いは商品によっては輸出入の禁止に発展している。中には日本の世界での評価がこれほどまで下がったかと、愕然とする事がある。以前であれば輸出時に、このような問題が発生しても決して要求されなかったであろうと思われるような証明書を要求されている。それも日本における証明書の発給元がはっきりして、書式が整っていれば対応出来るが、手探りで自前の書式を作成し、証明してもらえる行政機関先を探す有様である。
輸出入を行なうとき、まずは関税は何%か、特恵関税はどうかをチェックして原価計算をするが、植物防疫法・動物防疫法・食品衛生法などの貿易管理令は、その時々の社会の動き、或いはその政府の政策によっても改正されるので、税関や通関業者にその品目について、事前の問い合わせが大切である。関税のチェックを忘れて、輸入通関時に関税を支払う事になってもお金で解決できるが、法令で規制された商品は廃棄或いは積戻しとなるので十分な注意が必要である。
(貿易ニュース鹿児島2002.2月号掲載)