トップページ > 会員企業 > インタビュー > 志布志東洋埠頭㈱

志布志東洋埠頭㈱

  • 志布志東洋埠頭㈱
  • 志布志東洋埠頭㈱

会員者情報

企業名 志布志東洋埠頭株式会社
所在地 曽於郡志布志町志布志3267-1
電話 099-472-1771
名前 営業統括部長 川嶋 重夫 氏

インタビュー(貿易ニュース鹿児島2003,9月号掲載)

2003.9.mr.kawashima2

今回は、国際物流拠点港湾「志布志港」に1986年7月に支店を開設された東洋埠頭株式会社志布志支店を訪問し,川嶋重夫営業統括部長にお話をお伺いしました。
 東洋埠頭株式会社は昭和4年の創業で,埠頭・倉庫業の大手として東京晴海に本社を置き,全国8箇所に支店を持つ。県内では,ほかに鹿児島港にも営業所をおいている。
 志布志港において,外国航路の代理店業務を行っているのは,現在のところ(株)上組と東洋埠頭(株)の2社だけである。東洋埠頭(株)は神原汽船(株)の中国・韓国航路,オー・オー・シー・エル(株)の香港・台湾航路,東京船舶(株)及びAPLの台湾航路のコンテナを取り扱っている。(株)上組では、民生輪船有限公司の代理店として大連,上海,青島への中国航路の貨物を扱っている。

 ところで,志布志港で扱う貨物の9割は輸入であり,アメリカ,カナダといった北米からの牧草が一番多い。2番目がオーストラリアからの牧草。3番目が中国からの稲ワラ。4番目が東南アジアからの飼料,雑貨等となっている。遠隔地の北米・南米・ヨーロッパやオーストラリアからの荷物は,台湾の高雄と香港でトランシップし,志布志に持って来ている。中国の稲ワラは,大連から釜山経由で入ってきている。
 反対に,香港・高雄・韓国の釜山といったハブ港を利用することにより,北極・南極以外は世界中どこへでも,志布志から荷物を送り出すこと,また持ってくる事ができる。
 特に輸入雑貨は,南九州では消費人口が少なくロットがまとまらないため,大きな消費地を控えた博多港からの輸入がかなり多い。また,鹿児島の場合は,貨物の量とIT産業が多いことから,どうしても航空貨物の利用が多くなってしまう。

貨物の取扱量を表すのにはTEUという単位がよく使われる。1TEUは20フィートコンテナ1本のことである。昨年の志布志港の貨物の取扱量は33,500TEUで,これは九州の港としては第3位の取扱量となっているが、1位は博多港で,生活雑貨品やイギリス・北米からのモルトの輸入,ブリジストンタイヤやホンダのオートパーツ,三菱の電気機器などの輸出が主なところで,約53万TEUの取り扱い,2位は北九州(門司を含む)で約30万TEUと,取扱量が桁違いである。ちなみに4位は伊万里で魚粉や大川家具関連などで22,300TEUとなっている。
 特徴的なのは,博多や北九州などは輸入・輸出のバランスがとれているのだが,志布志港は取扱貨物の90㌫強が輸入で,輸出は10㌫にも満たないと言うことだ。そのため,志布志で陸揚げしたコンテナを,旭化成関係のケミカル品の輸出が多い細島やCanonの輸出が多い大分にまわし,輸入の強い港と輸出の強い港をうまくつないで,コンテナ航路を維持する工夫をしている。それでコンテナ船は,まず輸入の多い志布志港に入港すると言うことになる。
 志布志で陸揚げされた貨物は,地元の大隅をはじめ,鹿児島市内,宮崎,都城へ,また定期航路で離島へも運ばれる。トウモロコシ,マイロ,メイズなどの飼料は国内船に積み替えて他の飼料工場などに運ばれることもある。
 昨年,オー・オー・シー・エル(株)が日・水の週2便になり,さらに今年6月からAPLも毎週火曜日に寄港するようになった。寄港回数が増えたため,徐々に取扱量は増えている。
 今年度の志布志港の取扱量は4月4,800TEU,5月4,000TEU,6月3,500TEUで,最終的に40,000~45,000TEUくらいになり昨年を上回るのではないかと期待している。
 最近関わった例として,鹿児島相互信用金庫主催の海外ミッションで中国義烏市に同行したことがあるが,参加者のみなさんが購入した少量多品種の日用品雑貨を,個人の貨物利用のテストケースとして,コンテナ利用で混載して,持って帰ってきたことがある。
 こういったケースがうまくいけば,志布志港の取扱量もますます増えていくことになると思う。

さて,九州にはたくさんの港があり,生き残っていくためには世界の主要ハブ港に直結した航路を持つ港でなければならない。最終的に,九州にこのような港が東西南北に一つずつあればよいというような事になっても,志布志港は生き残れると確信している。更なる利用を増やすために,PRに力を入れて志布志港の知名度をだんだん高めていかなければならないと考えている。
 鹿児島は日本有数の農・畜産県であり,これまで培ってきた優れた関連技術やその中から生まれた類を見ない製品もあるようだ。例えば,焼酎滓やふん尿を処理してできる飼料や土壌改良材など,その技術と併せ,これを輸出につなげることができないかと思う。
 酪農や畜産,養殖など,鹿児島の産業には今後大きな可能性があると思える。

 最後に,川嶋部長が,横浜に勤務しておられる時の事,コンテナの中に密航者が潜り込んで入国し,後でコンテナにあいた穴でその中に密航者が居たことが判明したことがあったという。志布志ではまだそういうことはないとのこと。いずれにしても,志布志港は,世界各国と船で結ばれている。志布志町が,将来海外のどこかの同じような港湾都市と姉妹盟約を結ぶことがあれば,是非行ってみたいとのこと。

TOP ▲